刀の手入れをした。
何ヶ月ぶりだろう。 研ぎあがりではないので、頻繁に手入れの必要はないけど、 忘れるくらい間隔をあけるのは大変良くない。反省・・・ でも、大丈夫でした。 良かった、良かった。 さて、手入れは、二振り。いずれも脇差で、八王子の郷土刀 ”下原刀” この集団が製作した刀のことを下原刀(したはらとう)という。 下原鍛冶は、宗家 周重 (ちかしげ) に始まり、周重の子 康重 (やすしげ 二代周重) は北条氏康の「康」を、 弟、 照重 (てるしげ) は北条氏照の「照」をそれぞれ授かり、名乗りにしたと。 後北条氏を後ろ盾に栄え、後に、広重(ひろしげ)や、武蔵太郎安国(むさしたろうやすくに)など名工が増え、 ”下原十家”などと言われ江戸時代は将軍家の御用鍛冶として、幕末まで作刀を続けている。 下原(したはら)という地名はもう無いけど、公園の名前などで残ってる。 現在の八王子市下恩方周辺が、下原で、後北条氏の八王子城の近くである。 記念碑も数箇所にある。 写真の脇差は、 上が、三代康重(四代かも) 銘: 武州下原住康重 江戸時代初期(新刀) 下が、二代康重(与五郎銘) 銘: 武州住康重 室町時代末期(末古刀) いずれも、康重で、刃紋は二代康重が直刃湾れ(写真下)で、三代康重は互の目である。 沸・匂い は、鮮明ではなく、(もちろん切れてはいない) 全体に刃は沈む。 双方とも地鉄には、いわゆる「下原肌」と言われる連続した渦巻き模様が現れるが、二代康重のほうがより綺麗で鮮明である。 特に、二代康重の方は、身幅広く、重ねもあり、戦国時代の刀姿で、これなら大刀も受け流せるだろう。 短く見えるが、二代康重で、一尺七寸二分 (52.1cm)ある。 名刀ではないけど、地元八王子の刀だし、実用刀の魅力を感じるのは私だけではないはず。 下原物はシタハラと読むことから、下っ腹と重ねて切腹を意味し嫌われた なんて話も聞くけど、 切れ味は良く、業物にも名を残す刀工もいる。江戸時代、値段は比較的安かったようで、実用刀であったのだろう。 八王子郷土資料館に3振り下原刀が展示してある。(はず) 福生市も沢山所蔵している。赤羽刀返還の時、八王子市が引き取り渋ったところ、福生市が引き取った、という噂?もある。 展示してるかは知らないけど、HP(福生市郷土資料室)で見れます。 興味がある人は見に行ってはいかがでしょう。
by a-taipe
| 2012-03-26 02:19
| 日本刀・刃物系
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